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 文化の仕掛人 米替誓志の軌跡(10)

■ 10. 本間四郎と中村八大(4)

文化の仕掛人

「久留米出身の中村八大です」コンサートの度にそう語りかけたといわれる八大は、本間四郎との友情、そしてふるさと久留米に対する愛着から数多くの共演を果たし、文字どおり久留米の音楽シーンを牽引し続けた。

平成4年6月10日、数々の楽曲をその小さい手から魔法のように生み出し続けた希代の天才ピアニスト「中村八大」は、静かに鍵盤を閉じた。享年61歳だった。

「翌年の久留米音協合唱団第29回定期演奏会に決定していた楽曲は奇しくもモーツアルトの「レクイエム」でした。それから数カ月後に八大氏の訃報に接することになろうとは、団員の誰一人として知る由もないことでした」(音協合唱団総務:中島道成)

『生きている中村八大』急遽こう題された定期演奏会は、はからずも追悼コンサートとなった。この日の演奏会には東京から永六輔も駆けつけ、想い出の語り部として役を担っている。八大を偲ぶ超満員の文化ホールの観客席を背に、本間はあふれる涙を拭う術もなく指揮棒を振り続けた。

「中学明善で初めて合唱団を組織したが、変声期が多くピアノは常に移調を必要とした。彼はいつも即興で易々と移調演奏をしてくれた。こうなるともう天才ピアニストだ。大変な友達を持ってしまったと思った・・・彼の作品の中に、そして星のように輝いている楽譜の行間にも彼は永久に生きていると信じている。八大さん長い間本当にありがとう。そしてこれからもよろしく」(本間四郎の回想から)

「六・八・九」(永六輔・中村八大・坂本九)トリオによって生み出され、世界を席巻した楽曲は、永遠に人の心を捉えて離さない。ビブラフォンの転がるようなイントロを聴くだけで、今も大人たちの琴線を刺激しつづけるのだ。



♪上を向いて歩こう♪
[© Music:Nakamura Hachidai/ Lyrics:Ei Rokusuke/ Song:Sakamoto Kyu]

文化の仕掛人 上を向いて歩こう 涙がこぼれないように
思い出す 春の日 一人ぼっちの夜

上を向いて歩こう にじんだ星をかぞえて
思い出す 夏の日 一人ぼっちの夜

 幸せは 雲の上に  幸せは 空の上に

上を向いて歩こう 涙がこぼれないように
泣きながら 歩く 一人ぼっちの夜

思い出す 秋の日 一人ぼっちの夜

 悲しみは 星のかげに  悲しみは 月のかげに

上を向いて歩こう 涙がこぼれないように
泣きながら 歩く 一人ぼっちの夜

一人ぼっちの夜
一人ぼっちの夜

DATE:Jun.2006 ; on CALCATCH KURUME NEWS [Kurume City]
*カルキャッチくるめ [1992-2008;Kurume City]
ふるさと創生一億円事業を基金として久留米の草の根文化を育て、文化都市久留米を創出していく目的で1992年に設立された。正式名称「久留米市文化創生市民協会」。100人を越す民間ボランティアで構成、自主事業、人材開発事業など様々な活動を行った。2008年3月解散。

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