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 文化の仕掛人 米替誓志の軌跡(19)

■ 19. 久留米ATG(2)

文化の仕掛人

「価値ある映画で、久留米で上映されない芸術的作品などを広く市民に鑑賞してもらう」との主旨で、鑑賞組織を立ち上げるべく、アンケートの回答者を集めて会議を持ったが、肝心の上映路線で大幅に意見が食い違う。路線論争に敗れた者らは憤然と席を蹴って帰ってしまい、残った者で会員組織を確立していくことを確認。安藤と米替は久留米ATG委員長をその中で一番若い梶原龍二に決めたのだ。

以後毎月、厳選した2本の作品を懸け続けるが、どの作品にも参加者が多く集まるわけではない。たまに利益が出た上映作品の分を次には消費してしまうという繰り返しで、運営は常に逼迫していた。

翌年、一般の娯楽作品には飽きたらず、映画への情熱に燃えていた若い委員長の梶原はなんとボーナスを袋のまま米替のところへ持って来た。最悪の時には自腹を切る覚悟だ。米替はこれを預かり「決してこの金には手を付けぬよう」決意を新たにした。

安藤記者は、福岡総局編集デスクから苦情が来るもかまわず、筑後版にATG映画解説記事を毎回40行4段組みの囲み記事として連載を続ける。

上映を決定した映画には既に既存のポスターがない作品も多い。委員会の中でシルクスクリーンの技法を研修し、ポスターを自刷りする。昼間の作業は困難なため、米替と梶原は手分けして早朝暗いうちから街へ出かけ、せっせと貼り続けていった。汗と熱意のゲリラ作戦だ。

そんな中、周辺地域から参加していた者がそれぞれの街で佐賀ATG、大牟田ATGなどを興していった。 (続)

DATE:Dec.2007 ; on CALCATCH KURUME NEWS [Kurume City]
*カルキャッチくるめ [1992-2008;Kurume City]
ふるさと創生一億円事業を基金として久留米の草の根文化を育て、文化都市久留米を創出していく目的で1992年に設立された。正式名称「久留米市文化創生市民協会」。100人を越す民間ボランティアで構成、自主事業、人材開発事業など様々な活動を行った。2008年3月解散。

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