Buasiness inn SEAGULL
ビジネスイン・シーガル
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SAIJIKI in kurume
くるめの歳時記
■花火動乱蜂
花火動乱蜂。久留米市山川町、王子若宮八幡宮で毎年行われているダイナミックな花火だ。
由来書によると、起源は三百数十年前。
「王子若宮八幡宮の例祭に素朴な花火を奉納し、豊作と平穏を祈っていたが、天保の頃(1830年頃)からこの麓に住む久留米藩砲術師指南の古川辰之進氏が花火動乱蜂の製法を草案完成し、代々住民にその秘伝製法を伝えた」とある。
動乱蜂とはスズメバチのことだ。
福岡県指定の無形民族文化財である花火動乱蜂は保存会のたゆまぬ努力によって、一時中断はしたものの、現在までその見事な迫力を維持し続けている、全国でも希な民俗行事だ。
花火というと、天高く打ち上げる打ち上げ花火や、華麗な仕掛け花火をすぐに連想するが、この花火動乱蜂は、まったくひと味もふた味も違う。
王子池北側斜面に、青竹を使って組まれた発揚台に配置された仕掛けに、対岸100m程の位置から火矢が飛ぶ。刹那、ものすごい轟音と共にけたたましい花火となって、暗黒の空の中まさに千変万化!飛び散っていく。
この光景を親蜂子蜂の飛び交う様子に見立てて、動乱蜂と名付けられたわけだが、連発して起こる大小の爆発音は山裾、そして王子池の湖底に反響してものすごい雷鳴となり、その火矢による導火の妙趣と相まって、初めて見る者にとっては、一瞬呆然としてしまうほどの迫力だ。
「昔はですね、花火も、竹に火薬ば詰めて村のみんなで手作りしよったとですよ」と、保存会会長、稲益辰之さんは言う。
その後、法制が変わり現在は瀬高にある花火店が花火そのものの制作を担当しているが、花火動乱蜂を運営するための苦労はそれだけではない。
山川町・合川町等を中心に寄付を募ったり、発揚台となる土台づくりのために、毎年30本以上の新しい真竹を組み上げたり、また地元の本村(ほんむら)総出で周辺の山裾の枯れ木の掃除をしたりと地道で大変な作業を続けている。
特に枯れ木の伐採、清掃は30年ほど前に打ち上げ花火の火の粉で山火事が起こった事があり、以来数年間中止せざるを得なくなった経緯から現在では特に念入りに行われ、消防団による広範囲な散水と同時に消防車を待機させるという万全の体制で臨んでいる。
百聞は一見に・・・とはまさにこの花火動乱蜂を指すだろう。かなりの人出で混雑はするが、ぜひ一生に一度は見ておきたいイベントだ。