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 くるめの歳時記

■あじさい寺
あじさい寺

龍護山 千光寺。別名「あじさい寺」として、境内を埋め尽くす約5000株にも及ぶ色とりどりの紫陽花で、近年その名を知られるようになった。草野永経、永平、重永や田中忠政らの供養塔があり、寺裏には征西将軍懐良親王の廟や墓塔の所在も伝承される名刹である。

あじさい寺 あじさい寺 久留米市山本町、耳納北麓の山裾に静寂なたたずまいを見せるこの千光寺は、建久3年(1192年)草野永平の招きで臨済宗開祖、栄西によって開かれた日本最古の禅寺である。

その後、応永27年(1420)除災のため、後小松天皇から「龍護山」の山号の勅額を賜り、現在へと続いている。千光寺では栄西を偲ぶ茶会が紫陽花の花開く6月に毎年開かれている。

本殿や境内にある佛画や陶地蔵は信行真哉氏の作品。

紫陽花が代名詞になるほどの、千光寺だが境内にはその他にも樹齢500年を数える金木犀や大銀杏、慶良間つつじ(同300年)など、寺の歴史を物語る銘木も多い。特に金木犀は同じ樹齢のもの2本のうち、数年前の台風で被害を受け、1本だけがその後の努力で蘇り、現在も堂々と葉を繁らせている。

あじさい寺 第32代目のご住職、持地(もちじ)俊勝さんは数年前に檀家から譲り受けた紫陽花を少しづつ株分けし、現在5000株もの見事な紫陽花園になった。風で荒れた山裾を一人でユンボーを操って倒木を整理し、今もまたこつこつと寺の周囲にまで気を配り手入れを続けられている。

ひょうひょうとしたその語り口からは何処にそんなバイタリティがあるのだろうと不思議な気さえする。

あじさい寺 「良か臭いのすっでしょうが」夕刻になり、梵鐘(県指定文化財)を鳴らす持地さんに誘われて、梵鐘のあるお堂に登ると、確かにバナナのような甘い香りが立ちこめている。すぐ側にある雑木林の中にそんな香りを放つ木があるらしい。

「何ちゅう木でっしょかね」にこにこと屈託なく語るご住職の顔を見ると、なんだかこちらも肩の力がすーっと抜けて温和な気持ちになっていくような感じだ。

取材に訪れたのは1999年の5月の中旬だが、まだつぼみの紫陽花はとても生き生きと鮮烈な緑彩を放っていた。静かな山寺にこだまするようにウグイスの透き通った声が響く。

「どっかに巣ば作っとるとでっしょうねえ」と、言われて寺の本堂の方に目線をやると、屋根の上で1羽のセキレイがさえずっている。

6月になれば数多くの観光客で賑わいを見せるだろうこの「あじさい寺」だが、静寂な空気を突くように時折入るウグイスのメインボーカルとセキレイのコーラスをBGMに鮮烈な緑と手入れの行き届いた境内は、その営々と続く寺の歴史と相まって山寺の魅力を醸し出しているようだった。

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あじさい寺 [久留米人ブログ]