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 くるめの歳時記

■浅井の一本桜
浅井の一本桜

久しぶりに浅井の一本桜を観に行った。浅井の桜は市の観光施策もあり最近とみに有名になって、花見のシーズンには近辺からたくさんの人々が見に来るようになった。

対岸には観桜のために斜面が整備され、カメラの放列が鈴なり状態。あまり広くはないが駐車場も整備、出店まで出ていて、地元の方による交通整理が忙しそうだ。

一本桜と云えば、熊本の一心行の桜が有名だが、この浅井の桜には思い出がある。つい最近亡くなられた樹木医「ドクトルどんげ:野口喜好」さんだ。樹木医という呼称も余りよく知られていなかった頃、筑後のご自宅へ取材に伺ったことがある。

浅井の一本桜

野口さんは、この浅井の桜の他、地元の古木・大木を数多く診てこられた。浅井の桜での治療の手法などを詳しく説明を受けた。樹木に対する愛情は人一倍だが結構さばさばしたお人柄だった。

「浅井の桜の周りに、最近観光課が桜ば植えて観光名所にしようち、云いよる。いらんこったい、一本桜は一本だけやんけん、一本桜たい」

そう云っていたどんげさんだったが、最近のこの熱狂ぶりを見てどう思われるだろうか。

観光施策が功を奏しているというのもあるかも知れないが、最近はイベントに集まってくる人の数が尋常ではない。各地で盛んな花見はもちろん、もうすぐ始まる久留米つつじまつりにも大勢の人がやってくる。夏の筑後川花火大会などはあまりの混雑にとうとう警察からストップが掛かり、数年前から2ヶ所で分散発揚するようになった。

近頃のニュースじゃ、どうやら大型連休の分散化案が持ち上がり、試験的にもどこいらかで始まるらしい。それはどうかなと思うところもあるが、日本人ってどうしてこう、どっと移動するようになったのだろう。

車社会、交通機関の発達、情報のボーダレス化、さまざまに要因はあるのだろうが個人的にはあまり面白くない気がする。「不思議」が無くなれば世の中はきっと退屈になってしまうに違いない。



浅井の一本桜 [久留米人ブログ]