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HUMAN in kurume

 文化の仕掛人 米替誓志の軌跡(3)

■ 3. 滑落

文化の仕掛人

「落ちた!」

塚本武(二年生)即死、山北太平(三年生)重傷。救援を呼ぶべく転がるように尾根を駆け下りた米替の頭の中では滑落した二人の仲間への思いがぐるぐると駆け回る・・・

米替をチーフリーダーとする明善高校山岳部は、阿蘇・仙酔狭をベースに鷲ヶ峰で岩登り合宿を行った。翌日から祖母・傾縦走へ移ろうかという合宿最終日、北壁チムニールートで滑落。同校山岳部はじまって以来の惨事になった。

遭難の急報であわただしく動く地元警察の隣には九州山岳会の雄「キタショー」北田正三が営む教会があった。北田はすぐさま地元救援隊の総指揮を執る。特別のはからいで当時時間のかかる一般電話ではなく鉄道電話を使い、米替が真っ先に連絡したのは学校ではなく、三方幹雄だった。はたして三方は学校、OBと連絡、鳥栖や大牟田などの山仲間を糾合して救援に駆けつけた。昭和28年8月11日、米替十八歳直前の夏だった。

水の祭典のパレード待機位置にある三方額縁店は、炎天下で出番を待つ子供達に冷たい麦茶を出すため前日から無償で準備する。店舗改築の時には店の前に水道栓を二個も設置。何故二つも必要かと訊く息子に「子供達に勢い水ば掛けてやらなイカンめぇもん」

「ちょっとでもザイルを引きずろうものなら、容赦なくそれを叱責する小石が飛んでくる。山の三方さんはそんな厳しい人やった。永い岳人生活の中、思えば不思議と一度も直接ザイルを組んだことはなかった。いつも押しつけたような話に男気で応えてくれた事が多かった中、それでも三方先輩が心から楽しんでくれたと信じたい」

※このTRAVERSの企画が始まる直前の平成16年末、三方幹雄氏は他界されました。心よりご冥福をお祈りします。

DATE:Apr.2005 ; on CALCATCH KURUME NEWS [Kurume City]
*カルキャッチくるめ [1992-2008;Kurume City]
ふるさと創生一億円事業を基金として久留米の草の根文化を育て、文化都市久留米を創出していく目的で1992年に設立された。正式名称「久留米市文化創生市民協会」。100人を越す民間ボランティアで構成、自主事業、人材開発事業など様々な活動を行った。2008年3月解散。

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