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 文化の仕掛人 米替誓志の軌跡 II (27)

■ 27. まつりバカの系譜(6)

文化の仕掛人

歴代の企画委員会が最も頭を悩ませてきた課題、それは奇しくも「水の祭典」というその名称だった。多くの観光客から開口一番問われる事。「水は何処に?」

平成14年、初めて夜の明治通りに有馬火消しが登場する。スポットライトを浴び、高々と空中で行われる梯子乗りの演技に、人々は息を呑んだ。続いて道路の真ん中から勢いよくミスト化した水が吹き上がり、色とりどりの照明が映し出す荘厳で涼やかな演出。

この一連の演出を実現せんがため、まつりバカたちは何年も何年も消防団に足を運び地道に交渉を重ねた。おそらく久留米だけであろう夜の路上での梯子乗り演技は、今や団員が最も気合いを入れる晴れ舞台となった。

「筑紫次郎」の呼び名を持つ筑後川の豊かな水に感謝し、同時に三百年余の歴史を持つ有馬火消しの現役団員にスポットを当てる。明治通りに再現された筑紫次郎という演出により、初めて水の祭典は顔を持つまつりになったのだ。

平成23年、水の祭典は40周年の節目を迎えた。その本祭前日、前夜祭の舞台にひとつのサプライズが用意されていた。それは40年にわたる米替の労に報いるための表彰だった。突然壇上へ呼ばれた米替は驚き、戸惑いながらも深い感慨に襲われる。

事務局や組織の変遷に耐えながらも、支え続けた40年。思わず落涙した米替の目に映ったものは、こだわりにこだわった「町方のまつり」というスピリッツが未来へ確実に引き継がれていくという確信だったのかも知れない。

米替誓志、75歳。まだまだ現役のまつりバカである。

DATE:Aug.2011 ; on KURUME STYLE


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